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2016年9月22日木曜日

【TED】リサ・ダイソン: 忘れられた宇宙時代の技術が食料の生産方法を変革する・・・の感想


Japanese translation by Moe Shoji, reviewed by Reiko Bovee

炭水化物を燃やして、二酸化炭素を吐いて、それを植物が吸収して、炭水化物を作って・・・
いわゆる炭素循環が私たちの生活に入っているのは、中学生くらいのときに習った気がする。
それを狭い宇宙船の中で行うために、60年代にNASAが研究をしていたという。
ただし、残念ながら、その研究が必要になるほど人類が長時間の宇宙旅行を必要としていないらしい。

その研究対象が水素酸化細菌という細菌で、スピーチのなかでは二酸化炭素を吸い、炭水化物や油を作り出すことができるそうだ。
つまり、植物にやらせていたことを、細菌で行うということ。それには、光ではなく、熱を使うということが、語られる。生産効率は大豆の一万倍というから、驚きだ。
多くの家畜(二酸化炭素排出の最大の要因)と土地を利用しなければならない、現代の農業を大きく変える主張で、教科書に描かれていた食物連鎖のイラストの現代版には、細菌をより大きく描かなくてはならなくなるのかもしれない。

語られる夢のような話は興味深かったが、個人的に一番心を動かされたのは、それが1967年の論文から発展した話だということ。
過去に発表され、日の目を見なかった研究が、当時の目的(長距離の宇宙旅行)とは別の目的(人類の人口爆発による食糧難)の解決策になるということ。過去の知恵の集積が今まで使われることなく、ここにきてマッチングしたのだ。

関係がありそうな単語で検索し、辛抱強く色々な論文を読み解いて、解決策を発見する。これは偉大な努力かもしれないが、過去のものになるべき努力だと思う。膨大な過去のデータがあって、それを無数にリストアップしてくれる検索システムではなくて、内容までを理解していて、
「人類の食料が枯渇しそうなんだけど」
と問いかけたら、
「水素酸化細菌はどうでしょう?」
というサジェストが出てくる人工知能があれば、世界の問題はより高速に解決されていく気がする。
過去の論文から解決策を得られたというトークの、応用された未来の可能性に胸が躍らされた。



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